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もしあなたが、「将来は日本語教師になろう」と考えたとしたら、大学で日本語教育主専攻を学ぶことを一つの候補とするでしょう。では、日本語教育主専攻に進んだ先にはどのような状況が待っているのでしょうか。日本語教師になれるのか、あるいは、なるしかないのか。
大学で日本語教育学を専攻し、卒業後も日本語教育や言語に関わる分野で活動する、いわゆる「日本語教師プロパー」の「のえ」。
その「のえ」の20年間にわたる日本語教師としての経験について、「やすみん」が聞きます!
高校生のときから日本語教師になりたかった
![やすみん](https://nihongokikuyomu.com/wp-content/uploads/2021/09/242400197_999857464185581_1899192834322169687_n-150x150.jpg)
私は社会人になってから日本語教師という仕事を知って転業したんですが、大学進学時に「将来日本語教師になろう」という発想を持たなかった自分を残念だなあと思うこともあります。
のえさんは、高校生の時から日本語教師を目指していたわけですよね?
![のえ](https://nihongokikuyomu.com/wp-content/uploads/2021/09/242195401_266586391982220_5263364284470548504_n-150x150.jpg)
はい。そうなんです^^
大学進学を考える時期に、将来は何か教える仕事に就きたいと考えていました。それと、海外で働くことにも憧れがありました。そうした考えや思いから、外国人に対する日本語教育を専門的に学べる大学を選択しました。
日本語教師主専攻に入学してみたものの
![やすみん](https://nihongokikuyomu.com/wp-content/uploads/2021/09/242400197_999857464185581_1899192834322169687_n-150x150.jpg)
そうなんですね。夢を実現されて今に至る……ということですね!
順風満帆なキャリア形成に思えますが、実際のところ、いかがだったのでしょうか。
![のえ](https://nihongokikuyomu.com/wp-content/uploads/2021/09/242195401_266586391982220_5263364284470548504_n-150x150.jpg)
いえいえ、紆余曲折のキャリア形成ですよ(笑)。
私の場合は、運よく日本語教育の道に進めましたが、就職事情は決して甘いものではありませんでした。
日本語教育の主専攻でも学部卒で日本語教師として未経験で採用してくれるような日本語学校や日本語教育機関は、ほとんどありません。
また、もし、学部卒で、海外で日本語を教えたいとなったら、JICAの青年海外協力隊(現在は、海外協力隊)が唯一の道でしたね。
大学同期で日本語教師になったのは、私を入れて3人だけでした!
国語教育もあわせて学ぶことで日本語教育の道へ
![やすみん](https://nihongokikuyomu.com/wp-content/uploads/2021/09/242400197_999857464185581_1899192834322169687_n-150x150.jpg)
なるほど、そうだったんですね。
では、のえさんは、卒業後どのように「運よく」日本語教育の道に進まれたんでしょうか。
![のえ](https://nihongokikuyomu.com/wp-content/uploads/2021/09/242195401_266586391982220_5263364284470548504_n-150x150.jpg)
卒業後の進路については、正直言って、悩みました。
夢をもって入学し、学ぶ内容も大学生活も楽しかったのですが、就職を意識する頃には、上で述べた理由から、「卒業しても、日本語教師として就職するのは難しい」と思うようになりました。
でも、日本語教師の夢は捨てきれず、日本語を教えること、海外で教えること、この二つを両立した上で、収入面でも安定するには、と改めて考えました。
出した結論は、「日本語だけでなく国語も教えればいい!」でした。
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のえさんは国語の教員免許もお持ちなんですか。
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そうなんです。小中高の国語科の教員免許を持っています。
日本語の主専攻を卒業しても就職先がない、不安定。だけど、日本語を「国語」と言い換えて考えてみると、国語を教える、教員になれば安定!安直ですが、当時はこう考えたのです。そこで一念発起して、国語の教員免許も取得しました。
そして、大学卒業後、運よくヨーロッパ某国現地の小中高校に日本語の専任教員として採用されました。生徒には日本語の母語話者と非母語話者がいる少し特殊な学校でした。母語話者の日本人子女には「国語」を、非母語話者の児童生徒には「日本語」を教えました。
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なるほど!
のえさんは、
日本語教育主専攻課程を修了したことと、国語の教員免許を持っているということで、
就職への道が開けたというわけですね。
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そう思います!
国語の免許状を取得して、日本語を教える対象を、日本語を母語としない大人だけではなく、小中高校生にも広げることができました。
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ところで、「日本語」と「国語」の教え方の違いや共通点は何でしょうか。
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違いは多々ありますが^^、個人的に共通して大切にしていることがあります。
日本語の母語話者、非母語話者では、それぞれに教える内容はもちろん違うのですが、共通して大切にしていることは、日本語や日本語の文章がなぜそうなっているのかと学習者に日本語を分析的に考えさせるようにすることです。
そうすることで、学習者の日本語力・国語力が上がっていく様を目の当たりにしました。
これは、日本語教育を主専攻にしたからこそ身につけられた観点だと思っています。
日本語教育の道に進んでから
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そうなんですね。
ところで、海外ではどのくらい教えていらしたんですか。そして、帰国後はどうされたんですか。
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6年教えて、その後、進学しました。
ヨーロッパで6年教えてから、日本に帰国後、日本語の知識を増やそうと、修士課程に入りました。キャリアアップにもつなげられたらと思って。
そして、いわゆる「日本人学校」の外国版で教えました。つまり、日本で暮らす、ヨーロッパ圏や東アジア圏の小中高校生の子女たちに日本語を教える仕事です。
その後は、いったん教室現場は離れて、某団体の日本語教育事業関連の部署に割と長くいました。
そして、現在。日本語教育関連の道の先に
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のえさんは、現在は日本語教育関連の仕事ではなく、別のお仕事をしていらっしゃいます。
どんな仕事なんですか。
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今は、IT企業でベンダーとして働いています。自然言語処理に係る仕事です。
日本語教師として海外で働く!という夢を実現でき、日本でもその経験を生かして教えることができ、日本語教育以外の仕事をしてみたいと思うようになりました。
とはいえ、日本語に関わってはいたいと思い、その点をポイントにして仕事を探しました。
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なるほど、今のお仕事は、日本語教師とはまったく分野が違うように見えても、のえさんの中では一つの筋が通っているんですね!
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はい。間違いなく、日本語教師の経験が今の仕事にもつながっています。
国内外で日本語を教えることを通して、教えてきた学生や児童生徒だけでなく、幅広い交流ができました。そうした縁で、今の職に就きました。
また、身に付けた日本語教育や日本語についての専門性が今の仕事で大きく役立っています。日本語を構造的に分析的に捉える必要がある場面が多いので。
日本語教育を主専攻として出発して、身に付けた知識や経験が今に生きています。
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日本語教育主専攻から日本語教育以外の道に進もうと考えている方にもヒントになりそうですね。
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そうだといいです。
私自身は、日本語教師を辞めたことで、日本語教育主専攻の強みが理解できました。
日本語教師を辞めて日本語教育以外のITの分野で仕事をしてみて、日本語教育主専攻の強みは、日本語教師だけでなく、言葉を扱う仕事でも発揮できるとわかりました。
言葉を扱うというと曖昧かもしれませんが、どんな仕事でも言葉を使いますよね。日本語主専攻を経て学んだ知識は、日本語教師になる、ということにしか使えないわけではありません。それは幅広い分野の仕事に対応できるものだと思います。
たとえば知識を背景に、意識的に「は」と「が」を使い分けられるのは、日本語教育主専攻卒業者ならではだと思います。
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そうですね。
日本語をより分析的に巧みに使いこなせる力を身に付けられることが、日本語教育主専攻に進むメリットではないでしょうか。
日本語教育の現場で大学から日本語を専門としてきたプロパーの日本語教師に接していても、「日本語」そのものに長く向かい合ってきた知識量や日本語の体系が客観的に整理されて身に備わっている様に感心することがよくあります。
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そうですか(笑)?ありがとうございます。
主専攻を卒業して企業に勤めながら日本語教師にもなれる
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日本語教育以外の道に進んでも、その後に日本語教師として日本語教育の現場に立つことも可能だと思います。
今は、一般企業で働きながら、その企業内で「インハウス日本語教師」として活躍する道もあります。
「インハウス日本語教師」とは、企業や組織、あるいは関係先の日本語を母語としない従業員などの方に、その企業や組織内で日本語教える教師のことです。安定した収入を得て働きながら、日本語教育主専攻の専門性を生かして教えることができます。
経済的にも安定しますし、会社にとってもメリットがある。そうした道があることを念頭に、卒業後は一般企業に就職する選択も、アリだと思います。
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大学で日本語教育主専攻課程の卒業後のキャリア形成には様々な形があると言えそうですね。
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はい。
日本語教師という仕事に興味を持っているなら日本語教育主専攻は決して悪くない選択肢だと思います。
もし、大学入学後に日本語教師になることを諦めたとしても、人生の道は途絶えることはありません!
日本語教育主専攻ってどうなの?と考えている方へ
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では、最後に、日本語教育主専攻を検討している人、また、今まさに主専攻で学んでいるみなさんへ、一言お願いします。
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はい。
日本語教育主専攻を検討されている方はぜひ進んでいただきたいですし、今まさに主専攻で学んでいる方はその選択に間違いはありません!
主専攻では、最新の日本語教育の情勢や日本語について深く学べます。
獲得した知識はあなたを裏切りません。
日本語教師は、大変なことも多いですし、その一つが収入でもあり……敢えて収入のことはここで申しませんが(笑)、日本語を通して世界の国々の人と触れ合える魅力は何事にも代え難いです。それが日本語教師としての醍醐味だと思います!
日本語教師の一般的な応募資格・採用条件
日本語教師の多くの求人では、一般的に、応募資格・採用条件として、
1.大学で日本語教育を主専攻または副専攻にて修了
2.(四大卒+)日本語教師養成講座420時間以上を修了者
3.日本語教育能力検定試験の合格者
これらのどれかに該当することが求められることが多いです。
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私のように、大学で日本語教育を主専攻で修了しても、そうではなくても、日本語教師になりたい!という思いがあれば、道は必ずひらけます!
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そのとおりだと思います!
私は、セカンドキャリアに日本語教師を選択しました。
上記2.の「2.(四大卒+)日本語教師養成講座420時間以上を修了者」のケースについては、セカンドキャリアとして日本語教師を選択した「やすみん」のリアルな体験談も参考になると思います。
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